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失業保険(雇用保険の基本手当)の申請を検討している方に向けて、受給条件、受給額の計算方法、ハローワークでの手続き、必要書類まで、このページで全体像を把握できます。退職から初回受給までの流れを順番に解説していきます。
失業保険(基本手当)の全体像
失業保険は、正式には雇用保険法に基づく「基本手当」と呼ばれる制度です。雇用保険に加入していた労働者が失業した際に、求職活動中の生活安定を目的として支給されます。
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会社員として勤務していれば、雇用保険料は毎月の給与から自動的に天引きされています。つまり、退職した時点で受給資格を得る可能性がすでにあるのです。正社員だけでなく、契約社員、パート、派遣社員も条件を満たせば受給できます。
受給条件の詳細
受給するためには、離職理由に応じた加入期間の条件を満たし、ハローワークで求職の申し込みを行う必要があります。
一般の離職者(自己都合退職)
- 離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上あること
- 働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていること
特定受給資格者(会社都合退職)
以下に該当する場合、加入期間の要件が6ヶ月以上に緩和されます。
- 倒産、解雇(懲戒解雇を除く)による離職
- 事業所の移転により通勤困難になった場合
- 労働条件が契約と著しく異なっていた場合
- 賃金の未払いが続いた場合
- 長時間残業(月45時間超が3ヶ月連続など)が原因の離職
特定理由離職者
以下の理由で離職した場合も、6ヶ月以上の加入で受給資格を得られます。
- 有期契約の満了(更新を希望したが更新されなかった場合)
- 体力不足、心身の障害、疾病、負傷による離職
- 妊娠、出産、育児で退職せざるを得なかった場合
- 配偶者の転勤に同行するための離職
通算ルール
前職と現職の間に1年以内のブランクで、かつ前職退職時に基本手当を受給していなければ、雇用保険の加入期間を通算できます。短期間の仕事を複数経験している方は、合算して条件を満たせるか確認しましょう。
パート・派遣社員の扱い
週20時間以上の所定労働時間があり、31日以上の雇用見込みがある場合は雇用保険に加入しています。雇用保険被保険者証を確認するか、勤務先に問い合わせてください。派遣社員の場合は、派遣元(派遣会社)が加入手続きを行っています。
受給額の計算方法(完全版)
ステップ1:賃金日額の算出
退職前6ヶ月間に支払われた給与の総額(賞与は含まない)を180で割ります。
賃金日額 = 退職前6ヶ月の給与総額 ÷ 180
ここでいう給与には、基本給のほか、残業手当、通勤手当、住宅手当、役職手当なども含まれます。
ステップ2:給付率の確認
賃金日額に応じて、給付率(50〜80%)が決まります。
| 賃金日額の範囲 | 給付率 | 説明 |
|---|---|---|
| 2,746円〜5,110円 | 80% | 最も手厚い給付率 |
| 5,110円〜12,580円 | 80%〜50% | 賃金日額が上がるほど率が下がる |
| 12,580円〜上限額 | 50% | 高所得者は一律50% |
ステップ3:年齢別の上限額を確認
基本手当日額には年齢区分ごとの上限が設定されています。
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 29歳以下 | 6,945円 |
| 30〜44歳 | 7,715円 |
| 45〜59歳 | 8,490円 |
| 60〜64歳 | 7,294円 |
下限額は全年齢共通で2,196円です。
計算例
例1:月給20万円・25歳・自己都合退職
賃金日額:20万円×6÷180=約6,667円 → 給付率約68% → 基本手当日額:約4,533円
月額換算:約4,533円×28日=約12.7万円
例2:月給30万円・35歳・会社都合退職
賃金日額:30万円×6÷180=10,000円 → 給付率約58% → 基本手当日額:約5,800円
月額換算:約5,800円×28日=約16.2万円
例3:月給35万円・45歳・会社都合退職
賃金日額:35万円×6÷180=約11,667円 → 給付率約53% → 基本手当日額:約6,183円
月額換算:約6,183円×28日=約17.3万円
例4:月給40万円・55歳・会社都合退職
賃金日額:40万円×6÷180=約13,333円 → 給付率50% → 基本手当日額:約6,667円
月額換算:約6,667円×28日=約18.7万円
受給期間の全パターン
自己都合退職の場合
| 雇用保険の加入期間 | 受給日数 |
|---|---|
| 1年未満 | なし(受給不可) |
| 1年以上5年未満 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職の場合(年齢×加入期間)
| 年齢\加入期間 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
就職困難者(障がい者等)
| 加入期間 | 45歳未満 | 45〜64歳 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 150日 | 150日 |
| 1年以上 | 300日 | 360日 |
受給期間の延長制度
病気、負傷、妊娠、出産、育児などの理由で30日以上続けて働けない場合、受給期間を最大4年間まで延長できます。延長の申請は、働けなくなった日の翌日から30日が経過した後、早めにハローワークに届け出てください。
申請手続き 5ステップ(完全版)
ステップ1:離職票を受け取る
退職後、会社から離職票-1(資格喪失確認通知書)と離職票-2(離職証明書)が届きます。通常は退職後10日〜2週間以内に届きますが、届かない場合はまず会社に催促し、それでも届かない場合はハローワークに相談してください。ハローワークから会社に催促してもらうことができます。
重要:離職票-2に記載されている退職理由を必ず確認してください。「自己都合」と「会社都合」では受給開始時期が2ヶ月以上変わります。記載内容に事実と異なる点がある場合は、ハローワークで異議の申し立てが可能です。
ステップ2:ハローワークに求職申し込み
住所地を管轄するハローワークに行き、以下の手続きを行います。
- 求職申込書の記入・提出
- 受給資格の決定(離職票の内容確認、退職理由の確認)
- 受給説明会の日程案内を受ける
持ち物チェックリスト:
- 離職票-1、離職票-2
- マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード+身元確認書類)
- 証明写真2枚(タテ3cm×ヨコ2.5cm、3ヶ月以内に撮影)
- 印鑑(認印可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ステップ3:雇用保険説明会に参加
求職申し込みから約2週間後に開催される説明会に参加します。ここで以下の書類を受け取ります。
- 雇用保険受給資格者証 — 受給額、受給日数、認定日が記載された証明書
- 失業認定申告書 — 認定日に提出する求職活動の報告書
説明会への参加は求職活動1回分としてカウントされます。
ステップ4:認定日にハローワークへ
原則4週間に1回、指定された認定日にハローワークに行き、求職活動の実績を報告します。
認定に必要な求職活動実績(4週間で2回以上):
- ハローワークでの職業相談・職業紹介
- 企業への応募(書類送付、面接)
- ハローワーク主催のセミナー・講習への参加
- 許可・届出のある民間職業紹介機関での相談
- 再就職に資する資格試験の受験
インターネットでの求人検索だけでは活動実績として認められませんので注意してください。
ステップ5:指定口座に振込
認定日から約5〜7営業日後に、届け出た口座に基本手当が振り込まれます。振込額は認定された日数分の基本手当日額の合計です。
📝
ハローワーク申請 ステップガイド
退職から受給開始までの流れ
ステップ1. 離職票の確認と準備
会社から届く離職票-1と離職票-2を確認。退職理由の記載が正しいか確認し、異議がある場合はハローワークで申し立てができます。届かない場合はハローワークに相談を。
ステップ2. ハローワークへの初回訪問
住所地の管轄ハローワークで求職申し込みと受給資格決定。マイナンバーカード、写真2枚、印鑑、通帳を持参。求職申込書を記入して提出します。
ステップ3. 説明会への参加
初回訪問から約2週間後の説明会で、失業認定申告書と雇用保険受給資格者証を受け取ります。この参加が求職活動1回分にカウントされます。
ステップ4. 認定日の求職活動報告
4週間に1回の認定日にハローワークへ。2回以上の求職活動実績を報告します。職業相談、応募、セミナー参加などが対象です。
ステップ5. 受給と再就職
認定日から5〜7営業日後に口座に振込。早期再就職が決まった場合は、残日数に応じて再就職手当(60〜70%)が一括支給されます。
待期期間と給付制限
7日間の待期期間(全員共通)
ハローワークに求職申し込みをした日から7日間は、退職理由にかかわらず全員が「待期期間」となり、この間は基本手当が支給されません。この期間にアルバイト等をすると、待期期間が延長されます。
自己都合退職の給付制限(2ヶ月)
自己都合退職の場合、7日間の待期期間が終了した後、さらに原則2ヶ月間の給付制限があります。この期間中も基本手当は支給されません。以前は3ヶ月でしたが、2020年10月の法改正で2ヶ月に短縮されました(ただし、5年間に2回以上の自己都合退職の場合は3ヶ月)。
懲戒解雇の場合
重大な理由による懲戒解雇の場合は、3ヶ月の給付制限が課されます。
給付制限を短縮する方法
自己都合退職でも、以下のケースでは給付制限が免除または短縮されます。
- 公共職業訓練を受講開始した場合 → 給付制限が解除され、訓練期間中は延長給付を受けられる
- 特定理由離職者に認定された場合 → 給付制限なし
受給中のアルバイトルール
受給期間中のアルバイトは、条件を守れば可能です。ただし、ルールを知らずに働くとペナルティの対象になります。
1日4時間未満の場合
「内職・手伝い」扱いとなり、収入額に応じて基本手当が減額されます。減額の計算式は以下の通りです。
- 収入(日額)−控除額(1,334円)+基本手当日額 ≤ 賃金日額の80% → 全額支給
- 上記を超える場合 → 超過分だけ減額
- 収入(日額)−控除額 ≥ 賃金日額の80% → 不支給
1日4時間以上の場合
「就労」扱いとなり、その日の基本手当は不支給になります。ただし、支給が取り消されるのではなく後ろに繰り越しされます(受給期間内であれば後日受給可能)。
申告義務
認定日に提出する失業認定申告書に、アルバイトをした日、時間、収入額を必ず記載してください。無申告が発覚すると不正受給と見なされ、受給額の最大3倍の返還を求められる可能性があります。
知っておくと得する制度
再就職手当
所定給付日数の3分の1以上を残して早期に再就職した場合、一時金として受け取れます。
- 残日数が3分の2以上 → 基本手当日額 × 残日数 × 70%
- 残日数が3分の1以上 → 基本手当日額 × 残日数 × 60%
例:基本手当日額5,800円、残日数100日の場合 → 5,800 × 100 × 70% = 406,000円が一括支給されます。
就業促進定着手当
再就職先の給与が離職前よりも低い場合、その差額の一部を6ヶ月分まとめて受け取れる制度です。再就職手当の受給者が対象です。
教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合、受講費用の20〜70%(上限あり)が支給されます。資格取得やスキルアップに活用できます。
広域求職活動費・移転費
ハローワークの紹介により、遠方の企業の面接に行く場合や、再就職のために引っ越しが必要な場合、交通費や移転費用が支給される制度があります。
よくある質問
退職理由が「自己都合」になっていますが、実際は会社から退職を勧められました。変更できますか?
はい。ハローワークで退職理由について異議を申し立てることができます。退職勧奨やハラスメントが原因の場合、会社都合退職や特定理由離職者に変更される可能性があります。証拠となるメール、録音、メモなどがあれば持参してください。
失業保険を受給しながら職業訓練を受けられますか?
はい。ハローワークの指示による公共職業訓練を受講すると、受給期間中は基本手当に加えて受講手当(日額500円)と通所手当(交通費)が支給されます。さらに、所定給付日数が訓練終了まで延長される「訓練延長給付」が適用される場合もあります。
会社が雇用保険に加入していなかった場合はどうなりますか?
事業主に雇用保険の加入義務がある場合、遡及して加入手続きが可能です。ハローワークに相談すると、過去2年分まで遡って加入でき、その期間を受給条件の算定に含めることができます。
複数の会社を短期間で転職しました。通算できますか?
前職と現職の間のブランクが1年以内で、かつ前職退職時に基本手当を受給していなければ通算可能です。雇用保険被保険者証で確認してください。
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